在日特権に関する考察(その3)

在日特権に関する考察(その1) - 雑記帳
http://d.hatena.ne.jp/seijigakuto/20090416/1239892595
生活保護に関する検証
在日特権に関する考察(その2) - 雑記帳
http://d.hatena.ne.jp/seijigakuto/20090420/1240231044
通名に関する検証
e-politics - 外国人政策/在日コリアン
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/282.html
在日コリアンに関するまとめ。情報提供などを受けたら、項目は追加していきます。

前回までは生活保護通名に関しての検証をしていきましたが、今回は在日コリアン在留資格である特別永住資格について検証していこうと思い……ましたが、ネットを漁っていたら、「在日特権」の歴史的経緯を示したコメントを発見しました。

と、と、特権ちゃうわ! - 在日コリアン、おきらいですか?
http://d.hatena.ne.jp/lovekorea/20070628
現在〜朝鮮系は総連、韓国系は民潭をトップに添え、架空の強制連行や差別をネタに脅迫、恫喝を繰り返す。
拉致やニセ札作りなどの‘半島の悪事’が露呈しても「日本の過去の戦争犯罪に比べれば微々たるもの」「むしろ過去の復讐として当然の権利」と開き直り。
その恥知らずな態度が「まるで特権階級だ」と皮肉の意味で‘在日特権’という言葉を生み出す。 それを馬鹿な在日が字面どおりに解釈して「在日には特権などない。年金も生活保護参政権もみんな日本人どもが持っている」と、恥の上塗りな態度。

上記のブログのコメント欄によると、「在日特権」という言葉の歴史は、日本人よりも優遇されている「特権」があるという意味ではなく、在日文化人・朝鮮総連・民団の活動家・運動家の態度を皮肉って命名されたもののようです。


左右の人が明確な定義をせずに「ある・ない」という論争をしていた理由も納得で、在日コリアンのうち、声が大きく目立つ人達の態度の事を指していたのが本来的な意味で、それから次第に拡大解釈されて、一人歩きしたのが「在日特権」という言葉の現状かな・と思います。
なお、上記ブログのコメント欄には「民族団体を通じて税務申告すると必要経費が認められやすくなり、節税になる」という事も指摘されていましたので、そういった一部の人が使っていた節税テクニックが、在日コリアン全体に適用される「特権」のように解釈されたのが税制面での優遇措置ではないか?と思います(三重県伊賀市での住民税優遇措置は、対象となっていたのは50人ですし、他県での事例は報告されていません)。


で、そういう経緯を踏まえて「特権」を問題視する方の主張を見てみると。

在日特権を許さない市民の会 - 挨拶
http://www.zaitokukai.com/modules/about/zai/speech.html
こうした事情から、現在でも在日の特権的待遇は日本に存在しつづけ、在日問題は歪な形となって私たちの前に存在しつづけているのです。
 特永のみならず、通名問題、生活保護問題など「既得の」在日特権や、年金問題参政権問題など在日が厚かましくも日本に要求している「これからの」特権問題など、在日特権問題はますます深刻化しています。

在日特権を許さない市民の会 - 7つの約束
http://www.zaitokukai.com/modules/about/zai/promises.html
1.在日による差別を振りかざしての特権要求を在特会は断じて許しません。

他にも、「在日をほかの外国人と平等に扱うという至極まっとうな社会を目指す」という事も掲げられていましたが、要するに「他の外国人から見て」在日コリアンは「特権的」なので、その「差別」を無くそうという事らしいです。


「これからの」特権要求に関しては、年金問題参政権問題が挙げられているようです。年金問題について検討してみると。

在日外国人『障害者』年金訴訟を支える会
http://munenkin.hp.infoseek.co.jp/
日本政府は、1965年日韓協定以後に在日韓国人に「協定永住」を認めている。ところが、その在日韓国・朝鮮人らを年金制度から閉め出した理由として「外国人が必ずしも安定的に我が国に在留すると見られなかった」から、閉め出したのは合理的であると判決文は国側の主張をそのまま受けて述べる。一方で「特別」永住者としながら、他方では「外国人は一時的に滞在するだけだから25年間掛け金を払う年金制度には当てはまらないと除外することは当然」としている。こうした矛盾する主張を判決は何の検討もせずにそのままに受け入れている。
 国際人権規約についても、批准国がそれぞれ勝手な解釈をしていては国際法としての意味をなさない。規約人権委員会の定めてきた統一見解に基づく解釈をするべきなのだ。それは、選定議定書を批准しているかどうかとは関係なく、国際人権規約を批准している以上は当たり前のことである。批准国がそれぞれ勝手バラバラな解釈をしていては意味をなさないことは誰にでもわかる理屈である。ところが、貴職らはまたしても日本独自の解釈をふりかざし、国際法を無視・軽視する暴挙を繰り返している。「差別は許されないこと」「差別をなくしていく過程でどうしてもやむを得ない差異についてだけ、厳しい合理性の下でのみ認められる」という国際的な解釈を無視し、「今すぐに差別をなくさなくてもいい」「大まかな合理性らしきものさえあれば差別は認められる」といった、これまでの日本独自の、実に恥ずかしい解釈を振り回している。

上記が年金訴訟を支える会の主張ですが、当時の状況は以下のような感じのようです。

竹田青嗣氏の在日朝鮮人
http://www.asahi-net.or.jp/~fv2t-tjmt/daigojuunidai
「我々はいずれ祖国に帰るのであるから、福祉とかそういうものはいらない。日本は祖国の統一の邪魔をしない、日本に望むことはそれだけだ。」「厚生年金なんて強制的に取られるけど、私等は祖国に帰国するので年金は貰えない。年金を納めるなんて我々には無駄だ。」「日本人と違った取り扱い方をされるから、我々は民族の自覚を持つのだ。日本人と同じ処遇を求めるのは同化を求めることであり、民族を否定するものだ。」というような物言いは、20年前まではごく当たり前のことであった。
朝鮮人は朝鮮に帰る」というのは彼ら自身の主張で、「暴言」でも「差別発言」でもない話であったのだ。これを思い出すにつけ、今の在日の活動には隔世の感がある。彼らは、自分らの先輩たちが20年前まで担ってきた民族運動の歴史を総括せず、それどころか忘れてしまったのではないか、と思ってしまう。

そういった背景から、上記の訴訟が勝訴すれば、確かに「特権」になると思いますが、年金訴訟の結果は全て原告敗訴で終了しましたので、今現在日本人と比較して有利な「特権」のようなものはないと思います(年金も生活保護も日本人ならば貰えます)。


という事で「在日特権」に関しては、特別永住資格参政権を要求する「特権意識」のようなものが残りましたが、それらは別途項目を改めて記述します。


検証はいい加減な所も多いので、今回も含めたエントリーに関して何か指摘・補足できる所がありましたら、コメントでもいただければ幸いです。

女子差別撤廃条約選択議定書批准問題に関して(その2)

e-politics - 国際人権条約-女子差別撤廃条約
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/286.html
関連する国会議員ブログへのリンク
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/288.html

上記に、この問題のまとめを載せました。

閑寂な草庵 - kanjaku - 女子差別撤廃条約の選択議定書批准に賛成する! その2
http://kanjaku.blog.shinobi.jp/Entry/424/

上記のサイトの方で検討されているようなので、トラックバックを飛ばしてみます。ちなみに、私自信は批准してもしなくても良いと思っていますが、解釈の精度を上げるために検討を続けています。

(2)司法権の独立含め、我が国の司法制度との関連で問題が生じるおそれがある。
司法権との関係は前回の記事で指摘した通り、何の問題もないと考えられる。

法務省の見解らしいが、なぜ司法権の独立が侵害されるのか根拠が不明だ。
重要なのは、たとえ女子差別撤廃委員会で最高裁の判断と異なる判断がなされようと、最高裁の判断自体は確定するのであって、例えば、日本の裁判所が女性からの損害賠償請求を棄却する判決を出し、それが確定すれば、裁判所の判断を無視して損害賠償の支払い命令が出されることはあり得ない。
これが、欧州人権裁判所との違いである。
その後、新たな制度を構築したり、和解金が支払われたりするとしても、それは政治部門の問題であって、司法制度とは関係ない。

司法権の独立については、実定法学の枠組みでは問題ないかもしれませんが、「法的拘束力がなくても、反日的なNGOとマスコミが騒ぎたて、国連の勧告を御旗にして、運動を強め、世論を誘導し、法改正を迫ることは容易に予測がつきます。敗戦ショックのせいか、日本人にはなぜか国連信仰があるので、世論誘導にはもってこいです」という赤池議員のコメントがありますので、そこから解釈すると、一連の法的行為がもたらす社会的インパクトを認識・評価すると、社会(世論)への事実上の影響力を通じて司法の独立性に悪影響を及ぼすというものではないかと思います。
参考として、自民党議員の見解をまとめたものへのリンクを張っておきます。
国連女性差別撤廃委員会の勧告には拘束力が無いのならば、問題は起こらないのではないでしょうか?
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/286.html#id_2f0fd395

(7) 課題の第1は、本委員会の見解と我が国の基本的な立法政策や裁判所の確定判
決の内容とはが異なる場合等における対応の在り方。(通報事例として、非嫡出子、再婚禁止期間、労働関係の男女差別、「慰安婦」など過去の問題等が想定)

国際法と国内法に矛盾が生じた場合の対応の在り方については重要な課題である。
ただし、これはあらゆる国際法において問題となることである。
「対応の在り方に課題がある」から条約に批准できないというのであれば、いかなる条約にも批准できないことになる。
課題があるなら、それは対応策を政府が決めるべきことである。
また、「現状ではまだ対応ができないから、」ということもあり得ないだろう。
非嫡出子の問題は、(そもそも女性差別の問題ではないという点はさておき)既に国際機関から何度も勧告を受けているにもかかわらず、日本ではその改正を行わないという方針でこれまでやってきているのだし、再婚禁止期間については、女子差別撤廃条約云々を抜きにしても既に議論が行われている。
労働関係の男女差別は、総論としては差別禁止で一致しているのだし、個別具体的な案件については、それこそ個別具体的に検討すれば済む。
慰安婦問題については、議定書第4条2項に定められた「通報の対象となった事実が、当該締約国について本議定書が発効する以前に発生している」案件であって、委員会が審理を受理できないものである。
そもそも、慰安婦は女性「差別」の問題ではない。
つまり、想定された事例については、特に困難な対応が求められるようなものではない。

「対応の在り方に課題がある」から条約に批准できないという点は、朝日新聞によると、個人通報制度は「この10年で制度が利用された例は、本人の十分な了解を得ずに不妊手術をされた事例など、各国合わせて20件にも満たない」との事なので、自民党と政府の認識は、左翼団体しか利用しないから対応したくないといった辺りだと思います。
慰安婦に関しては、「女性差別」の問題です。フェミニズム的な扱いでは、外国人従軍慰安婦は、女性差別と民族差別という二つの差別を背負った問題として捉えられています。この問題に関しては、条約批准を求める支援団体がそういう所ばかりなので、自民党内では確実に訴えるだろうと解釈されているようです。
支援団体一覧
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/286.html#id_114c8565
自民党の部会での議論
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/289.html#id_c131944e

(9) 課題の第3は、個人通報制度が設けられている他の人権条約への対応の在り方(人種差別条約53カ国、B規約(自由権)条約111カ国、拷問条約62カ国の3つ)
これも、「今後の課題」として遺されるだろうが、ある条約に批准したら、他の条約にも批准しなければならないという必然性は全くない。

個人通報制度を含む選択議定書に批准しない、政府の公式の理由が「司法権の独立を侵害する」というものなので、一つに批准したら、その理由が使えなくなって次々と批准を迫られます。

ところで、赤池議員の最後のコメント
他国では、日本のように法行政や司法制度、国民の遵法精神がしっかりしていないので、ケースバイケースでいい加減なのだといいます。
というのは、言ってる意味が理解できません。
まあ、日本人の遵法精神は他国に比べて高いということはあるでしょうが、それと今回の問題がどういう関係にあるのか、よくわからないですね。
どこの国を想定しているかわかりませんが、この選択議定書には、司法制度がしっかりしていない国ばかりが批准してるのでしょうか。
先進諸国で「司法制度がしっかりしていない国」ってのはそんなにないと思うのですが・・・。

「この選択議定書には、司法制度がしっかりしていない国ばかりが批准してるのでしょうか」という点はその通りです。
国際人権条約は、OECD加盟国限定の条約でも欧州諸国限定の条約でもありませんので、批准国が多い条約は「司法制度がしっかりしていない国ばかりが」批准しています。
日本の場合、国連にカウンターレポートを出すのは日弁連以外は左翼系の団体であり、個人通報制度の導入によって更にそういった事が促進されますので、そちらの基準で色々クレームをつけられるのを政府は余り好ましく思っておらず、ネット住民もその認識を共有しているのだと思います。
参考として、国際人権条約の種類や加盟国数などの状況をまとめたものへのリンクを張っておきます。
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/287.html#id_60c44a96

追記

閑寂な草庵 - kanjaku - 女子差別撤廃条約の選択議定書批准に賛成する! その3
http://kanjaku.blog.shinobi.jp/Entry/425/

上記サイトから、回答のトラックバックをいただきました。
慰安婦問題に関しては、外務省の報告書を見ると「女性差別」の問題としてカテゴライズされています。
女子差別撤廃条約実施状況 第5回報告 (仮訳)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/josi/fifth/index.html

議定書 第4条
1. 委員会は、利用し得るすべての国内的救済措置が尽くされたことを確認した場合を除き、通報を検討しない。ただし、かかる救済措置の適用が不当に引き延ばされたり、効果的な救済の見込みがない場合は、この限りでない。
2. 委員会は、次の場合、通報を受理することができないと宣言する。
1. 同一の問題が委員会によってすでに審議されており、若しくは他の国際的調査又は解決手続きの下ですでに審議され又は審議中である。
2. 通報が条約の規定に抵触する場合
3. 通報が明らかに根拠を欠いており又は十分に立証されない。
4. 通報提出の権利の乱用である。
5. 通報の対象となった事実が、当該締約国について本議定書が発効する以前に発生している。ただし、かかる事実がこの期日以降も継続している場合は、この限りでない。

批准支援団体にそっち系の所が多いので個人通報するのは確実だと思いますが、選択議定書の4条2項5号に該当するので受理されないと思うんですけど、詳しい方いましたら、コメントお願いします。

追記2

女子差別撤廃条約選択議定書について 稲田朋美の『今日の直言』
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/290.html#id_3bc368a8
 21日朝8時から自民党本部で外交部会が開催され、「女子差別撤廃条約選択議定書」の批准について議論されました。
 すでに日本も昭和60年に条約に批准していますがまだ選択議定書は批准していません。もしこの選択議定書に批准をすると、個人や団体が直接国連に通報できることになります。私は「選択議定書」に批准することには慎重にすべきであるという意見をいいました。その要旨は次のとおりです。
①日本は国内での救済が不十分で国連に直接訴えなければならないほど男女差別の国ではない
② 仮に個人通報を認めると最高裁で結論がでたものについて国連から勧告が来ることにより下級審の裁判に影響を与えかねない。これは司法権の独立にも影響がでる

弁護士の稲田議員が「司法権の独立にも影響がある」といっているのですが、教科書的な解釈だと「影響はない」となりますが、法曹レベルでの解釈だと違ったものになるのか?それとも、ただオーバーにいっているだけなのか?という所の疑問が残ります。

女子差別撤廃条約選択議定書問題に関して

女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃に関する条約 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A5%B3%E5%AD%90%E3%81%AB%E5%AF%BE%E3%81%99%E3%82%8B%E3%81%82%E3%82%89%E3%82%86%E3%82%8B%E5%BD%A2%E6%85%8B%E3%81%AE%E5%B7%AE%E5%88%A5%E3%81%AE%E6%92%A4%E5%BB%83%E3%81%AB%E9%96%A2%E3%81%99%E3%82%8B%E6%9D%A1%E7%B4%84
e-politics - 女子差別撤廃条約
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/286.html

最近のネット界隈では、ネット政治運動の新ネタとして「女子差別撤廃条約」の選択議定書が話題になっているようですので、少しだけまとめを作ってみました。


まずは、認識されている問題の概要。

Free Japan! 【04-18】 緊急「女性差別撤廃条約」が危険
http://www.freejapan.info/?News%2F2009-04-18
女子差別撤廃条約議定書の批准問題について》
1.女子差別撤廃条約選択議定書とは?
個人や団体が国連女子差別撤廃委員会に訴えることのできる個人通報制度である。但し国内での救済を経てからではないと通報できない。
2.議定書を批准すれば確実に起こってくる問題
①非嫡出子の相続、夫婦別姓制度が差別であると、国が、国連女子差別撤廃委員会に訴えられる
②独立した人権擁護委員会設立が必要であると、国が委員会に訴えられる
③その他の人権条約、例えば、児童の権利条約等の議定書を批准する障害がなくなり、全ての人権条約の議定書が批准されてしまう
3.上記の問題の国内への影響
①非嫡出子、夫婦別姓民法改正問題が再び起こり、わが国家族制度に大きな弊害をもたらす事態になる
②監視社会となるとして国民の中でも反対の多い人権擁護法案が再び浮上する
③その他の人権条約の議定書が批准されれば、例えば現在論議になっている不法滞在親子の問題は、「父母と共に生活する権利侵害」として国連に通報される。不法滞在者に在留特別許可を与えるか否かという国家の主権行使の問題が、児童の権利の問題にすり替えられてしまい、国家主権が侵害される。
最高裁で敗訴しても、国連にその事柄について訴えることが可能となるため、わが国の司法制度は軽んじられ、司法権の独立を侵すこととなる。又、わが国の法律や制度を訴える訴訟が次々に起こされることが予想される。


上記の懸念に対する説明としては、条約の拘束力について、某掲示板にあった国際法に詳しい人のQ&Aが本質を突いていると思うので、引用します。

質問:国際法違反に対する最も厳しい制裁は何か?
回答:国際法学者からの厳しい批判

女子差別撤廃条約に関していえば、2005年の段階でこの条約の批准国は180ヶ国で、選択議定書の批准国は71ヶ国です。
日本がこの条約を批准した1985年の当時は、条約の内容と日本の現実があまりに違うので、女性学会の大御所である上野千鶴子は「おいおい。本気かよ。字が読めなくて条約に署名しちゃったんじゃないのか?」といっていたそうですが、下記の「人権の到達度」に関するデータと批准国の数を見れば、欧州の先進国以外でのこの条約の拘束力というものがどの程度のものかが想像できると思います。

参考:人権の到達度(1991年の調査)
99 フィンランド
94 カナダ、フランス
93 イギリス
90 アメリカ、イタリア
87 スペイン、ギリシャ
82 日本
62 世界平均


こういった条約の場合、おおざっぱに「法源としての条約」を分類すると、以下のようになります。

× 日本の法廷で権利を主張するための根拠法として使える
○ 行政訴訟において、条約を参照した主張も認められる(例:退去強制の違法性を主張する際の根拠として「児童の権利条約」を使用する)
○ 条約の義務を履行するための国内立法を求めるための根拠となる(政治的主張

本体の条約は既に批准していますので、今回関係があるのは個人通報制度になりますが、これは国際労働機関(ILO)の提訴・勧告とほぼ同じ制度であり、過去には連合などの労働組合がILOに提訴し「国家の運営に直接関与しない公務員に,結社の自由の原則に則り団体交渉権とスト権を付与すること」などの勧告が出ましたが、その後公務員にスト権は付与されていませんし、公務員のスト禁止を合憲とする最高裁判例も変わっていません。

日本政府には国連女性差別撤廃委員会(CEDAW)の意見・勧告に従う条約上の義務はありませんので、勧告をスルーしたとしても、それに対する制裁は「国際法学者の厳しい批判」くらいに留まると思います。

条約や選択議定書を根拠に立法を行うような「政治的主張」に関しても、民法改正問題・入管法などで法務省NGOに一歩も譲っていない事から分かる通り、(行政訴訟において弁護士が法廷で使用するケースを除いて)こういった国際条約はNGOが政府を批判したり騒いだりする際のネタといった範囲に留まっているのが現状ですので……今回の反対理由は、支援NGOが嫌いだから(名うての左翼団体が勢ぞろいだと認識されているようです)、色々な理屈を後付けで考えただけなように思えたりします。

但し、権威がある(ありそうな)所から発せられた勧告・命令・報告書等のメッセージは大なり小なり、現実や認識に影響を与えますし、そういったNGOの中には自分達の主張が通らない場合は国連等で「差別国家日本」という宣伝をしながら主張を訴える所もありますので、後々そういった問題を抱え込みたくない場合は、今回も批准を見送るといった選択肢もあるのではないかと思います。

以上、ざっと簡単に現時点での見解を書きました。この分野は詳しくないので、質問や補足・間違いの指摘等あればコメントをお願いします。

在日特権に関する考察(その2)

在日特権に関する考察(その1) - 雑記帳
http://d.hatena.ne.jp/seijigakuto/20090416/1239892595
生活保護に関する検証
e-politics - 外国人政策/在日コリアン
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/282.html
在日コリアンに関するまとめ。情報提供などを受けたら、項目は追加していきます。

前回の記事は入門編という事で、「生活保護が申請すれば誰でももらえる」「生活保護受給者の7割は外国人によって占められている」という、事実だとすれば明らかに日本人よりも優遇されている「特権」はデマだという事を説明しました。


今回は、通名に関する事を考察していこうと思います。

国民が知らない反日の実態 - 在日特権の正体
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/107.html
在日がいままで要求してきた内容
○:実現済み。△:実現中。×:要求中。
○1.公文書への通名使用可(在日隠蔽権獲得)

通名に関しては使用できる事は事実ですし、犯罪の隠蔽に利用されてきた事があるのも事実なので、それ自体に言う事はありませんが、前回の記事へのコメントでこんなものをいただきました。

通名は、在日じゃなくても、外国人登録する人なら誰でも使えるって言ってましたよ。役所の人が。
でないと、変わった文字を使う国の人とか困るでしょ。
どんな名前をつけてもいいそうですよ。

こういった役所の側と在日コリアン以外の外国人のための論理で、在日コリアン以外にも通名を使用している外国人は結構いるようです。


通名の外国人側に関する利点に関しては、本名での生活のままだと差別があるので、それを和らげる事ができるというものがあります。
実際にどのような差別があり、どのように対処してきたのかは、最近話題になった匿名の在日コリアンの人達の手記などを参照して下さい。

在日コリアンはてな匿名ダイアリーでの手記まとめ(最近の状況)
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/282.html#id_2aca2e7a
社労士 李怜香の多事多端な日常 - 「通名」関連自薦記事#p01(少し前の状況)
http://www.yhlee.org/diary/?date=20090416#p01


こういった差別は日本だけの現象ではなく、「人権先進国」と言われて、人権到達度がフィンランドデンマークと並んで常に世界のトップに来る、北欧のスウェーデンでも似たようなものだそうです。

「日本名を使ったら仕事見つかんないよ。」
http://reekan-j.hp.infoseek.co.jp/swetoho5.html
かれこれ10年近くになるけど、学校の先生が「あなたはこっちの人と結婚するから問題ないけど、外国人は名前がスウェ―デン人や西ヨ―ロッパ人とは違うものだと、就職活動の時に履歴書すら見てもらえないのよ。外国人名、特にイスラムの名前だったりするとごみ箱行きだから、あなたが結婚するときは名字を変えることを薦めるわ。」と言った
最近職安に行って係のおじさんと喋る機会があったんだけど、まずわたしの顔と経歴書を見て「あ、スウェ―デン人と結婚しているんだ。よかったな。日本の名前で履歴書を出しても、紙ヒコ ―キにして遊ばれるか、ごみ箱にポイだよ。」と言った
「面接に呼ばれるだけでも、ラッキ―だと思わないか?スウェ―デン人ですら失業しているのに。実際に中近東出身の移民はこぞって名前をスウェ―デン人名に変更しているよ。そうでもしなきゃ、仕事が見つからないってこと。」雇用における外国人差別はなにも日本だけじゃないのね。でも、職安の係自らこんな差別的発言をしていいのかね?

ちなみに、カナダの場合、ワーキングホリデー等で渡航した日本人が就職できるのは、実質的には日系企業と日系向けを扱っている企業だけで、カナダの現地企業に就職するのは北米の大学を出ていないと無理だというのが実態のようです(住んだ事のある人は、欧米諸国で差別が少ないといってるのは、現地の「素敵イメージ」で、国内在住の日本人向けに商売する人達の嘘だと言ってました)。
また、公式の場や新聞報道では現れませんが、英国に住んでいた人に聞くと、英国だとアジア・アフリカ人について語る時「自分はレイシストじゃないよ」と前置きをする人が多いなど、潜在的な人種差別はどこの国にでもあるようです。


で、結論になりますが。
欧米の先進国でも人種差別や就職差別というのが日常茶飯事になっているのが現実である以上、日本だけが「日本には人種差別はない。あるのは逆差別だけだ」といった無邪気な認識を前提として、実際の必要性という要素は余り考慮せずに、通名使用を「特権」といってしまってもいいのかな?という疑問が残ります。


検証はいい加減な所も多いので、今回も含めたエントリーに関して何か指摘・補足できる所がありましたら、コメントでもいただければ幸いです。

立川テント村事件とヘイトスピーチ規制に関して

この記事の内容は、表現の自由に関してきちんと勉強したら間違いである事に気がつきました。ブログ主の最新の知見の目次を張っておきますので、この記事ではなく、そちらを参照していただけると幸いです。
http://h.hatena.ne.jp/seijigakuto/9258646738093116765/

社労士 李怜香の多事多端な日常 - マイノリティがかわいそう、じゃなくて
ttp://www.yhlee.org/diary/?date=20090412
上記記事のブクマ
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.yhlee.org/diary/?date=20090412%23p01
そのメタブクマ
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.yhlee.org/diary/?date=20090412%23p01

上記のメタブクマ欄で指摘をいただいたので、自分の中で整理をつけるためにまとめてみます。余り自信はありませんので、何かあればご指摘いただければと思います。


論点の要約としては
・マイノリティへのヘイトスピーチ規制を立法論として展開する場合は、立川テント村等での左翼団体の自衛隊へのヘイトスピーチ等も規制しないとダブルスタンダートになるのでは?(私)
・立川テント村事件と在特会ヘイトスピーチは法律上の争点も内容もまったくちがうので、直接ヘイトスピーチの問題として扱うのは無理がある。「迷惑」程度を共通項に両方をまとめて括るのは無理がある。(指摘された方々)


という事で、立論における主要な論点は以下の4点になります。
(1)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メインの争点)
→直接の法律的な争点は、刑法130条(住居侵入罪)と憲法21条(表現の自由)ですが、刑事裁判においては、メインの争点以外の解釈もそれなりに重要ではないか?
(2)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メイン以外の争点以外の解釈)
→「自衛隊へのヘイトスピーチ的要素が、宿舎内の人々に不安・不快感を与えた(メインの争点以外の独自の要素として考慮された)」というのはありえないのか?
(3)ヘイトスピーチ規制の根拠となる法益の解釈
→規制の根拠は「社会的法益」と決めてしまってOKか?
(4)立法論としての問題
→マイノリティへのヘイトスピーチ規制を立法論として展開する場合は、立川テント村等での左翼団体の自衛隊へのヘイトスピーチも合わせて議論する必要があるのでは?


以下、順に議論を進めていきます。

(1)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メインの争点)

まずは、関連項目のリンクと概要の抜粋。

立川反戦ビラ配布事件 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%AB%8B%E5%B7%9D%E5%8F%8D%E6%88%A6%E3%83%93%E3%83%A9%E9%85%8D%E5%B8%83%E4%BA%8B%E4%BB%B6
住居侵入罪 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%BD%8F%E5%B1%85%E4%BE%B5%E5%85%A5%E7%BD%AA#.E4.BF.9D.E8.AD.B7.E6.B3.95.E7.9B.8A
刑事法上の論点
本事件においては、刑事法上、以下の3点が特に問題とされている。
・本件起訴は公訴権濫用にあたるのではないか。
・被告人らが立ち入った場所は刑法130条(住居侵入罪)が規定する「住居」「人の看守する邸宅」への「侵入」に該当するのか(構成要件該当性の問題)。
・形式的には住居侵入罪に該当するとしても、処罰するほどではないのではないか(可罰的違法性の問題)

法律上の争点としては、刑法130条(住居侵入罪)に該当するか?、また該当した場合は憲法21条の「表現の自由」の衝突というのになると思います。
問題となる「表現の自由」は憲法で保障される人権の中でも優越的地位を占めるとされていますが、芦部信喜憲法」から、関連する箇所を引用します。

表現の自由を支える価値は二つある。一つは、個人が言論活動を通じて自己の人格を発展させるという、個人的な価値(自己実現の価値)である。もう一つは、言論活動によって国民が政治的意思決定に関与するという、民主政に資する社会的な価値(自己統治の価値)である。表現の自由は、個人の人格形成にとっても重要な権利であるが、とりわけ、国民が自ら政治に参加するために不可欠の前提をなす権利である(p.176)
表現の自由に規制立法は、(1)検閲・事前抑制(2)漠然不明確または過度に広範な規制(3)表現内容規制(4)表現内容中立規制、という四つの態様に大別されるが、このうち(3)と(4)については、区別する事自体に有力な異論もあるので、あらかじめその意味を説明しておく必要があろう(p.176)
・表現の内容規制とは、ある表現をそれが伝達するメッセージを理由に制限する規制を言う。性表現、名誉毀損表現の規制もこれに属するが、これらはアメリカでは通常、営利的言論や憎悪的表現(hate speechと呼ばれ、人種差別表現のような少数者に有害で攻撃的と考えられる表現)とともに、低い価値の表現と考えられ、右に例示したような政治的表現(高い価値の表現)と区別される(p.177)。

判決文に現れている直接の法律的な争点は、刑法130条(住居侵入罪)と憲法21条(表現の自由)ですが、刑事裁判においては、検察・弁護士共に、メインの争点以外にも、その事件に使えそうな証拠や法律・法解釈はとりあえず全部主張するというのが「マナー」のようですので、メインの争点以外の解釈もそれなりに重要ではないか?と思います。

(2)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メイン以外の争点以外の解釈)

立川テント村事件では、マスコミでは「被告がいかに普通に活動していたか、微罪逮捕であるか」をアピールしていますが、裁判認定事実だけでも、チラシには以下のような表現があります。

「復興支援は強盗の手伝い」
「殺すも殺されるも自衛官です」
「その地域の住民にとって、自衛隊死に神になります」

被告達はこういうのを「やめてくれ」といっていた自衛隊の宿舎内に投函する事も「表現の自由」として正当化していましたが、この事実の裁判における評価に関しては、以下のような弁護士の方の解釈があります。

立川自衛隊官舎ビラ撒き事件について - 元検弁護士のつぶやき
http://www.yabelab.net/blog/2006/05/17-161109.php
上記のりゅうちゃんミストラルのリンクをたどって、Assault on Toxic Confidence(防衛庁官舎ビラまき事件)を読んでみますと、撒かれたビラには
「復興支援は強盗の手伝い」
「殺すも殺されるも自衛官です」
「その地域の住民にとって、自衛隊死に神になります」
と書かれていたようです。
 正直言いまして、私もAssault on Toxic Confidenceの管理人さんと同意見です。
 あまりにも配慮がない。
 撒かれた官舎の住人の方たちがこれを読んでどう思うか。
 国の政策の当否を論じる前に、人の気持ちを考えて欲しい、と思います。
 住居侵入罪としての違法性を認めた高裁の判断の基礎には、このようなビラの内容もあったのではないかと思います。

また、一審においては、(判決は無罪ですが)検察側が公安情報に基づき、「被告人らが左翼・新左翼団体との関連があり、その団体は自衛隊海外派遣反対などの理由で立川基地内に爆発物を発射した事件など危険な事件に関与している」という立証を行い、裁判所も「過去、同団体の構成員によるやや不穏当な行動もみられる」といった範囲までですが、事実の認定を行いました。


以降は自信がないのですが、上記の解説記事の該当箇所の解釈には2つのものがあると思います。
自衛隊へのヘイトスピーチ的要素が、宿舎内の人々に不安や不快感を与えた(メインの争点以外の独自の要素として考慮された)
・ビラの内容はヘイトスピーチ的な要素は考慮されず、「表現の自由」の解釈としての内部基準(のようなもの)の認定に合致した(メインの争点の解釈の判断材料としてのみ考慮された)


後者の場合が、通常の法律的な解釈だと思います。
この解釈の場合、メインの争点である住居侵入の故意の有無を認定するには、チラシの内容を見るだけでは、故意があったか判断ができないため、過去の行動やチラシの内容を見て、故意の有無を判断すると思います。

・「派遣されたら、あなたたちは殺されてしまうんですよ。それでもいいんですか?」という純粋に感情に訴えるもの→表現の自由の行使として適切
自衛隊員に職務のボイコットやストライキを促すもの→自衛隊の派遣をしないという世論形成を可能にし、国会に訴えるということを通して政治に参加するというのが表現の自由の本来の趣旨なので、「表現の自由」の行使としては不適切

上記の違いを見極めるために、チラシの内容や左翼団体の過去の行動を裁判官も知る必要があり、検察もそれだけを目的として立証を行ったというものが法律的な解釈になると思いますが、「自衛隊へのヘイトスピーチ的要素が、宿舎内のに不安、不快感を与えた(メインの争点以外の独自の要素として考慮された)」というのは、裁判や判決文の解釈としてはありえないものなのか?という点に疑問があります。

(3)ヘイトスピーチ規制の根拠となる法益の解釈

刑事罰を科す立法を行う場合は、保護法益を定める事が必要ですが、保護法益には以下の3種類があります。
1.個人的法益
2.社会的法益
3.国家的法益
ヘイトスピーチ規制の根拠ですが、Wikipediaから引用します。

ヘイトスピーチ - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%98%E3%82%A4%E3%83%88%E3%82%B9%E3%83%94%E3%83%BC%E3%83%81
ヘイトスピーチは他の多くの国々においても嫌悪を煽動するものとして禁止されている。これは昔からあるわいせつ物の規制と同種の論理によるものである。
ドイツ憲法では自分の意見を発する自由を保障する一方、治安を妨害するような言論の濫用を厳しく規制している。またドイツ刑法では民族集団に対する憎悪を煽動するような行為を特に禁止している。

Wikipediaの記述が正しいとした場合、多くの国でのヘイトスピーチ規制の根拠は「社会的法益」として解釈できると思います(違っていたらご指摘下さい)。
参考までに、英語版と要約や補足も入れておきます。

http://en.wikipedia.org/wiki/Hate_speech
・英・仏・独・加・豪州の諸州・NZ・アイルランドあたりは「煽動・助長」という要素が入っているので、少なくとも当該諸国・諸州については社会的法益を根拠にしていそう。
・北欧は情報判断しにくいですが、ノルウェーが煽動を含んでいるほか、アイスランドは「煽動だけでなく、嫌悪を公にすることも含む」と説明されている。
※ちなみに、欧米の場合は人権NGOに「Article 19」(世界人権宣言の第19条〔表現の自由・知る権利〕を守れ、という意味だそうです)というのが有り、ここはヘイトスピーチ規制に反対するデモをやったりしているようです。
http://en.wikipedia.org/wiki/ARTICLE_19
http://en.wikipedia.org/wiki/Category:Freedom_of_expression_organizations

これらを前提にして、元記事のid:sharouさんの分類を援用すると、規制の根拠は以下のような分類になると思います。
・マイノリティが可愛そう=人権=個人的法益
ヘイトスピーチ許容→民族対立の増進→治安悪化というスパイラル防止=社会的法益
そのような理解から、次の項目の立法論に移ります。

(4)立法論としての問題

ここまで来て、以下の最初の主張に戻ります。
・マイノリティへのヘイトスピーチ規制を立法論として展開する場合は、立川テント村等での左翼団体の自衛隊へのヘイトスピーチも規制しないとダブルスタンダートになるのでは?(片方だけ規制すべきという主張のままだと、幅広い支持を得られないのでは?)


マイノリティへのヘイトスピーチ規制ですが、人権擁護法案のように「人権」を根拠とする規制ではなく、「社会的法益」を前提とした規制の場合、立法論としては片方だけ対象にしないのはバランスが取れていないのでは?といった印象を受けたので、id:sharouさんはコメント欄で「自衛隊員がその身分の故に罵倒されていいなんてことは、あるわけないでしょう」と返信されていますが、それ以外の方にも、この点も合わせて議論を深めて欲しいなと思いました。

法解釈論と立法論 - 碁法の谷の庵にて
http://plaza.rakuten.co.jp/igolawfuwari/diary/200611100000/


なお、(1)〜(3)の解釈が間違っているといわれればそれまでですので、その場合についても付言しておきます。
(1)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メインの争点)
→「表現の自由」自体の重要性の認識が足りない、といわれれば、多分そうなのかな?と思います。自衛隊が「公人」の範囲に含まれるのかとか、「表現の自由」の中での細かい部分の判断の分かれ目は興味があるので、図書館で専門書を借りてきました。
(2)立川反戦ビラ事件の法律的な争点(メイン以外の争点以外の解釈)
→「自衛隊へのヘイトスピーチ的要素が、宿舎内の人々に不安・不快感を与えた(メインの争点以外の独自の要素として考慮された)」というのは、裁判や判決文の解釈としてはありえない、といわれればなるほどと納得します。
(3)ヘイトスピーチ規制の根拠となる法益の解釈
→こちらも欧州での規制の根拠は社会的法益ではない、人権擁護法案のようなものが趣旨といわれれば、勘違いでした、となります。
と、考えが固まっておらずにわかりずらいものですが、現時点での考えとして書いておきます。

追記

ブコメした当初は、(1)(2)部分に当たる判決文を詳細に読んでいませんでした。
その後、メタブクマで指摘されて教科書を図書館で借りてきて判決文を読んで、「(1)(2)の所での裁判の解釈はこういうのは駄目なのか?」という事での後付なので、(1)(2)は解釈として全く成り立たないのか、それともそういうのも成り立つのか?といった程度の疑問に過ぎません。


元々、(3)の法益解釈と(4)の立法論がメインで、(1)(2)はそのための材料の一つといった感じで立論の精度も低かったので、(1)(2)の解釈が苦しいとか詭弁に見えたとしたら、そういう経緯からです。

追記2

判例の解釈問題というのは、新司法試験の問題の中でも難問とされています。正確な所に近い解釈をするのは専門家でないと無理だと思いますので、素人の私だと「こういう解釈を取る余地はあるのか?」といった曖昧で疑問系のものになります。

在日特権に関する考察(その1)

はてな界隈で在日コリアンと「在日特権」が話題になっているので、書きかけのエントリー*1を一時中断して、「在日特権」に関する考察の連載を書いて見ます。
別に「ない」という事を証明したり説明したい訳ではありませんので、分からない所は「わかりません」、ありそうな所は「あるかもしれませんね」という事で、他国の状況などと比較しながら進めていこうと思います。


まず、「在日特権」という言葉の意味や、関連書籍は↓のリンク先がまとまっています。

在日特権 - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%9C%A8%E6%97%A5%E7%89%B9%E6%A8%A9
在日特権に関するインタビュー
http://vision.ameba.jp/watch.do?movie=49367
ザ・在日特権 - 反日勢力を斬る - Yahoo!ブログ
http://blogs.yahoo.co.jp/blogger2005jp/37485026.html
国民が知らない反日の実態 - 在日特権の正体
http://www35.atwiki.jp/kolia/pages/107.html

で、上記サイトで紹介されている内容など。

在日がいままで要求してきた内容
○:実現済み。△:実現中。×:要求中。
○1.公文書への通名使用可(在日隠蔽権獲得)
○2.永住資格(非権利)
○3.犯罪防止指紋捺印廃止
○4.所得税相続税・資産税等税制優遇
○5.生活保護優遇
○6.永住資格所有者の優先帰化
○7.民族学校卒業者の大検免除
○8.外国籍のまま公務員就職
○9.公務員就職の一般職制限撤廃
○10.大学センター試験へ韓国語の導入
○11. 朝鮮大学校卒業者の司法試験1次試験免除
△12. 民族学校卒業者の無審査公私高校受験資格
×13.在日外国人地方参政権
×14. 公務員就職の管理職制限撤廃(これは9と同じか?)
△15. 掛け金無しで年金受給可能

ネットの場合、これらが混在して、在日コリアンの「権利獲得運動」の成果=在日特権みたいな捉え方がされているのが、「在日特権」に関する認識の現状ではないか?と思います。
宝島社から出ている「在日特権」に関する書籍は確認していないのですが、次回からのエントリーでは上記の1〜15を検討していってみようと思います。


今回は入門編という事で、一番大枠の所かつ有名な「○5.生活保護優遇」の大きな間違いから指摘します。
それは「生活保護」に関する優遇措置で、外国人が生活保護の7割や3割を占めているという「俗説」で、在日コリアン生活保護を申請すれば必ず受給できるという説です。

nikaidou.com 生活保護受給者の3分の1が外国人という恐ろしい事実
http://www.nikaidou.com/2007/11/31.php
ネットゲリラ おいら差別は嫌いなので、在日特権は廃止してください
http://shadow-city.blogzine.jp/net/2007/10/post_c0f4.html

「外国人が生活保護の3割(7割)を占めている」という説は、年単位と月平均を混同した場合に外国人の受給者が12倍の数字が出てしまい、その誤解が広がっている事と、生活保護を受給している全外国人に占める在日コリアンの割合などを色々混同した結果のようです。

平成17年のデータ 
外国人平均 29129世帯/月
全体 平均 1041508世帯/月
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/data18k/3-04.xls
http://wwwdbtk.mhlw.go.jp/toukei/youran/data18k/3-10.xls

実際は、生活保護受給者全体に占める外国人の割合は3%くらいの割合で、在日コリアン生活保護受給も、この外国人が占めている3%の枠内での受給です。


在日コリアン生活保護に関しては正確な検証はしていませんが、「日本人との比較においては、下の数式が立てられ、韓国、朝鮮人の被保護率は、日本人の4.8倍である」という計算になるそうです。

財政 福祉Q39の資料に対する検証です。□検証1□
http://shitsumonjyo.gozaru.jp/kensyou1.html

但し、北海道の生活保護受給率は「日本人全体」と比較した場合は2倍付近になるという計算もあり、失業率などとの関係で見ないと把握は難しいと思います。
文献によると、中国残留孤児・婦人の二世・三世の場合は失業率12.1%、生活保護受給率13.2%になるそうですし、欧州諸国の場合も移民の二世・三世の失業率は高い傾向にあり、それに従って公的扶助の受給率も高くなるという傾向も指摘できますので、在日コリアン生活保護に関しても就職差別などと合わせて語るべきではないかと思います。


次回以降は、1〜15のそれぞれの項目について検討していってみようと思います。
数字や制度・法律の検証はいい加減な所も多いので、今回も含めたエントリーに関して何か指摘・補足できる所がありましたら、コメントでもいただければ幸いです。

*1:ヘイトスピーチ表現規制関連のものです

質問などがありましたら、こちらにお願いします。

とりあえず、サイトの関連ページへのリンクを張っておきます。
トップページ
http://www7.atwiki.jp/epolitics/
外国人政策
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/188.html
外国人政策-カルデロン一家問題
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/237.html