外国人問題に関して・その1(偏見の克服)

自由帳で数学とか物理とか 目指すべきは理不尽のない世界
http://hisamatomoki.blog112.fc2.com/blog-entry-491.html
>「外国人に対する自然発生的な差別心をどう克服するか」という問題

在特会への批判や行動に関しては、「思想信条の垣根を越えて」「人間としての良識と良心」という事ならば参加を検討するのですが、準備会場で「日の丸うんこ」の旗がひるがえっていたら、即座にUターンするような人間としては、こういった問題意識ならば乗れるので、引き続いて書いてみます。
議論の筋としては、①日本在住の外国人数の少なさ②外国人(地方)参政権インパクトの少なさ③日本における「外国人」関連報道の特性④偏見の克服といった順番です。

1.そもそもの所としての、日本在住の外国人の人数

日本にいる外国人登録者の人数は、2007年のデータだと215万2,973人であり、これは日本全体の人口比にすると1.69%になります。これは他の先進諸国と比較しても極端に低い数字で、2002年のOECDの統計という古いデータですが、人口における外国人居住者の比率は、ルクセンブルク:36.0%、スイス:19.2%、ドイツ:8.9%、ベルギー:8.8%、フランス:5.6%……といった数字になっていて、欧州諸国での「外国人問題」というのは、この数字があって現れてきている問題です。
ちなみに、入管法改正前の1990年の数字だと、日本の外国人登録者数は107万5,317人で、人口比0.87%という更に少ない割合になります。

参考)
1973年〜2007年までの外国人登録者数と人口比の推移
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/274.html#id_c9cc9fae

2.「外国人地方参政権」が認められた場合のインパク

個人的には、外国人地方参政権は中立派(どちらでもいい)ですが、上記のような少人数の在日外国人(特別永住者と永住者だけが対象なので、人口比1%以下です)が地方参政権を取得したからといって、日本政治への影響力が飛躍的に増大して、外国人に都合の良い政治ばかりが行われるという事は考えずらいです。
海外での外国人地方参政権を認めた国での国民と外国人の投票率の表をリンク先にまとめましたが、だいたい外国人の投票率は、国民全体よりも10%〜40%程度の割合で低くなっています。
日本の場合は、地方政治の投票率が低いので、日本国民と在日外国人の間での投票率の格差は余り生じないと思いますが、参政権を付与された場合の外国人の投票率は上記の程度だと予想されます。

参考)
外国人地方参政権を認めている国での外国人の投票率
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/224.html#id_28004dab
外国人参政権に関する法律的な問題の解説
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/216.html

3.「外国人犯罪」や外国人関係の報道量について

上記までで、日本在住の外国人は人数自体が少ないし、仮に参政権が付与されても余り影響がない事を説明しましたが、次に問題になってくるのが、(実行者が少人数でもできる)「外国人犯罪の増加」です。
但し、これも下記のデータを見ると分かりますが、1989年→2002年の間で報道件数だけが飛躍的に伸び、実態以上に「体感治安」が悪化しているだけという事が分かります。

年次 外国人登録者数 外国人刑法犯検挙人員 外国人犯罪報道件数
1989 984,445 8,245 96件
2002 1,851,758(1.88倍) 13,077(1.58倍) 2,133件(22.2倍)

これは少年犯罪その他の類似カテゴリでも同様で、事実に基づかないイメージの拡散によって、一般人の被害者意識が増大していってしまっているという問題が指摘できます。
また、一部には、国籍法や入管法改正問題の時の報道量が少なかった事から、報道における「外国人問題の隠蔽」という誤ったイメージも広まっているようですが、参考URLの国籍法改正(年間700人程度が対象になる)の時と、入管法改正問題(200万人以上の外国人全員が対象になる)の時の報道を見れば、日本での外国人問題の報道量というのは、「外国人犯罪」以外はそんなものだという事も分かると思います。

参考)
外国人犯罪」統計と報道件数
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/199.html#id_760dec3f
国籍法改正問題の時の報道記事一覧
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/17.html
入管法改正問題の時の報道記事一覧
http://www7.atwiki.jp/epolitics/pages/306.html

4.では、どうするのか?

こういった問題を考える枠組みや方法論は色々と提示されていますが、「差別・人権問題」に熱心で、それを中心に考える人の理論には、(私も含めた)一般人はついていけない事が多く、そのため問題自体を敬遠する人が大半になってしまっている気がしますので、現実的に可能な方法を紹介しておきます。

拝啓 チャベス大統領閣下 その4/5 - いしけりあそび
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094222.html
 「治安を回復する」のと「治安に対する国民の不安を解消する」のとは根本的に異なります。定住者の在留資格で滞在する外国人の犯罪が増えていないのに「外国人犯罪」に不安を感じ、ペルー人が重大事件を犯したからペルー人は危険だと考え、ましてやブラジル人やボリビア人も危ないと思う者がいるとしたら、そういう人は、ただの無知か、差別的な偏見にとらわれているにすぎません。
 社会の「不安」というのが個人の心の状態の総和であるならば、事実にもとづかない「不安」、偏見にもとづく「不安」は、各個人が、正確な知識をえて、理性的な思考を獲得するように努力することによって、みずから克服すべき問題ではないでしょうか。

上記引用部分で提示されている「事実にもとづかない「不安」、偏見にもとづく「不安」は、各個人が、正確な知識をえて、理性的な思考を獲得するように努力する」といった対応及びそれを促すような流れを作るといった程度の事ならば、難しい事を勉強する必要もなく、誰にでも誤りが明確に分かって指摘するコストもかからないため、一般人にも可能だと思いますので、まずはその辺りから始めていけばいいのではないかと思います。

参考)
2005年11月のペルー人による広島幼女誘拐殺人事件の後、ヤギ・カルロスという個人の犯罪が「南米人という集団全体」への偏見へと繋がり、それが日本で暮らす南米人に著しい不利益を与えてしまった事を指摘する、外国人関係専門の弁護士のisikeriasobiさんの記事。
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094217.html
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094219.html
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094221.html
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094222.html
http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/54094224.html